初めての美容内服
- 6月26日
- 読了時間: 6分
ここ数年、「美容内服」という言葉を耳にする機会が一気に増えました。
これまでスキンケアといえば、化粧水や美容液、日焼け止めなど「塗るケア」が主流でしたがそこに「飲むケア」を組み合わせる方が増えています。背景にはマスク生活によるシミ・くすみの増加に加え、20・30代から美容意識を高く持つ人が増えたなどが考えられます。一方で「本当に意味があるの?」「副作用が心配」など、疑問や不安があるのも自然なことです。今回は初めて美容内服を検討している方に向けて、医師の立場から“どのような考え方で使うものか”をお話しします。
なぜ今、美容内服なのか
皮膚科・美容クリニックの現場では「塗るケアだけでは限界がある」という声をよく聞きます。シミ・肝斑・ニキビ・くすみなどのお悩みには、表面だけでなく「肌の内側」も関わっています。そこで内側から肌を支える方法として「内服」が取り入れられるようになってきました。
皮膚の構造と「内側から支える」という意味
美容内服を理解するには、皮膚の構造をざっくり押さえておくとイメージしやすくなります。
皮膚は大きく「表皮」「真皮」「皮下組織」の3層から成り立っています。
・表皮:一番表面の薄い層で、外からの刺激や乾燥から守るバリア。シミのもとになるメラニンが作られるのは、この表皮の一番深くにある基底層という部分。
・真皮:その下にある厚い層でコラーゲンやエラスチンが網目状に広がり、肌のハリや弾力を支えている。加齢や紫外線などの影響を受けやすい。
・皮下組織:脂肪が主な層で、クッションの役割や輪郭のボリュームに関わる。
美容内服は、血液にのって栄養や成分が運ばれることで、
・表皮のターンオーバー(肌の生まれ変わり)をサポート
・真皮のコラーゲン産生や構造を維持するうえで必要な材料を補う
・炎症や酸化ストレスから肌を守る働きを支える
という働きを狙いとして使われることが多いです。
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悩み別:美容内服と代表的な成分の考え方
お悩み別に成分を紹介します。あくまで一般的なものであり、実際には体質や持病・服用中のお薬によって選び方は変わります。
1. シミ・肝斑・くすみ
シミや肝斑のお悩みでよく話題にあがるのがトラネキサム酸 。
本来、出血や炎症に関わる内服薬として使われてきた成分で、肝斑治療に用いられることがあります。メラニンに関わる炎症性の因子に働きかけることでくすみケアとして活用される場合もあります。
またビタミンCやビタミンEはメラニン生成過程に関わったり、酸化ストレスから細胞を守る働きがあることが知られており組み合わせて用いられることがあります。
ここで大切なのは
・日焼け止めなどの紫外線対策を徹底
・肌摩擦を減らす
ということです。「飲んでいるから大丈夫」ではなく「塗るケア+内服+生活習慣」の3本柱で取り組むことが大切です。
2. ニキビ・肌荒れ
ニキビには皮脂の分泌・毛穴の詰まり・菌の増殖・炎症反応など様々な要因が重なっています。
代表的な栄養素は
・ビタミンB2・B6:脂質代謝や皮膚の健康維持に関わる
・ビタミンC:酸化ストレスや炎症から肌を守る働きを支える
・亜鉛:皮膚の修復や免疫機能に関わるミネラル
といった成分です。 ただし、ニキビは「洗顔・外用薬・ホルモンバランス・食事・睡眠」など生活習慣全体の見直しが欠かせません。内服はその一部をサポートする役割だと考えてください。
3. 乾燥・小ジワ・ハリ不足
年齢とともに真皮のコラーゲン量や質は変化し、肌のボリュームやハリ感の変化につながります。ここで考えられるのがコラーゲンの材料や合成を支える成分です。
・ビタミンC:コラーゲン合成に関わる代表的なビタミン
・アミノ酸・コラーゲンペプチド:真皮の土台づくりを意識して用いられることがある
これらは「飲んですぐシワが消える」即効性のものではなく、数か月単位で続けることで肌の変化を感じられる場合があるというイメージです。
上手な付き合い方 量・期間・安全性
美容内服でよく見られるのが「少し飲んでやめてしまう」「自己判断で量を増やしてしまう」というパターンです。
効果をみる目安
肌のターンオーバーはおよそ1〜2か月。多くの場合、まずは3か月程度をひとつの目安として肌の様子を見ながら継続するかどうか判断していきます。
自己判断で増量しない
「効いていない気がする」と、自己判断で飲む量を増やしてしまうのはおすすめできません。ビタミンEなどの脂溶性ビタミンや一部の成分は過剰に摂ることで体に負担がかかる可能性があります。トラネキサム酸も、もともと止血などに使われるお薬ですので血栓傾向がある方などでは注意が必要です。現在治療中の病気がある方、ピルや抗凝固薬などを内服中の方は必ず主治医に相談をしてください。
サプリとの飲み合わせ
市販サプリと成分が重なるケースも多く、「知らないうちに二重に飲んでいた」ということも珍しくありません。飲んでいるサプリや薬は、診察の際にすべて伝えていただくと安全な組み合わせを考えやすくなります。
おわりに :「内側からの土台づくり」としての美容内服
美容内服は魔法の薬ではありません。
けれども、肌のお悩みに対して内側からアプローチすることは有効です。
大切なのは、
・自分の悩みや体質に合った成分を専門家と相談しながら選ぶこと
・適切な量と期間を守ること
・外用ケアや生活習慣と組み合わせて総合的にケアしていくこと
初めての美容内服には不安もつきものです。気になる点や持病、過去の副作用歴などがあれば、遠慮なく医師に伝えてください。一人ひとりの体質・ライフスタイルに合わせた「無理のない内服プラン」を一緒に考えていくことが、安心して続けるいちばんの近道だと思います。
参考文献
1. 林陽子, 川島眞. 肝斑に対する内服治療のエビデンスを踏まえて. 美容皮膚医学 Beauty. 医学書院; 2019.
2. 近藤慈夫. トラネキサム酸配合乳液の肝斑・雀卵斑に対する使用成績. 日本薬剤師会雑誌. 2007;128(2):200-205.
3. 石神昭人他. 皮膚におけるビタミンCの新知見. ロート製薬研究開発ニュース. 2025年4月30日.
執筆者について
執筆:安積 尚杜先生
経歴:
関西医科大学卒業
大阪医科薬科大学病院、音羽病院、Wクリニック、駅前AGAクリニック 姫路院等勤務経験あり





