漢方ダイエットで痩せない理由|防風通聖散が合わない人・体質別の注意点を薬剤師が解説
- 7月10日
- 読了時間: 10分
「漢方ダイエットを試しているのに痩せない」「自分に合う漢方薬がわからない」と悩む方は少なくありません。漢方薬は、体質(証)や症状に合っているかによって選び方が変わります。自己判断で使い続けると、期待した変化を感じにくいだけでなく、副作用や成分重複のリスクにつながることもあります。この記事では、漢方薬で思うような変化を感じにくい理由、体質別の考え方、代表的な漢方薬、服用時の注意点を薬剤師の視点で解説します。
1. 漢方ダイエットで「痩せない」と感じる主な理由
漢方薬を服用しても体重や体調の変化を感じにくい場合、主に次のような理由が考えられます。
理由①:自分の体質(証)と薬が一致していない
漢方医学では、患者さんの体格、体力、胃腸の強さなどの全体的な体質を「証(しょう)」と呼びます。
たとえば、防風通聖散は「腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちな人」の肥満症、むくみ、便秘などに用いられる漢方薬です。一方で、胃腸が弱い方や下痢・軟便がある方では症状が悪化するおそれがあるため、体質や症状に応じた判断が必要です。
漢方薬を選ぶ際は、体重だけでなく、便通・むくみ・冷え・胃腸の状態・体力などを含めて確認することが重要です。
理由②:「飲むだけで痩せる魔法の薬」という誤解
漢方薬は、服用すれば必ず体重が減る薬ではありません。また、脂肪を直接溶かすような作用を目的としたものでもありません。
肥満や肥満症の改善では、食事・運動・睡眠などの生活習慣の見直しが基本です。漢方薬は、体質や症状に応じて、むくみ・便秘・冷え・ストレスなどの不調に対して用いられることがありますが、生活習慣の改善とあわせて取り入れることが大切です。
2. 体質の傾向を確認する3つのチェックポイント
ご自身の傾向を知る目安として、以下のチェックリストを確認してみましょう。ただし、自己診断だけで漢方薬を選ぶのではなく、気になる症状がある場合は医師・薬剤師に相談してください。

タイプA:むくみが気になるタイプ(水太りと呼ばれることもある)
水分代謝の乱れにより、むくみや体の重だるさを感じやすい傾向があります。
筋肉量が少なく、体が重だるく感じることがある
夕方になると足のむくみが気になる
汗をかきやすく、少し動いただけで息切れする
疲れやすく、胃腸があまり強くない
タイプB:便秘・腹部脂肪が気になるタイプ(固太りと呼ばれることもある)
食べ過ぎや運動不足などが背景となり、お腹周りに脂肪がつきやすい傾向があります。
体格がよく、がっちりしている(太鼓腹)
普段から便秘気味である
胃腸が強く、食欲が旺盛である
のぼせやすく、暑がりである
タイプC:ストレスによる食べ過ぎが気になるタイプ
ストレスによって食行動が乱れたり、睡眠不足や生活リズムの乱れが重なったりすると、摂取エネルギーが増えやすくなることがあります。漢方医学では、このような状態を「気の巡り」の観点から捉えることがあります。
ストレスを感じると、食事量が増えたり間食が多くなったりする
イライラしやすく、怒りっぽい
便秘と下痢を繰り返すことがある
脇腹やみぞおちのあたりが張って苦しい
3. 【体質別】ダイエット目的で使われることがある漢方薬
ここでは、体質や症状の傾向に応じて医療機関などで用いられることがある代表的な漢方薬を紹介します。実際に使用できるかどうかは、年齢、体力、持病、服用中の薬、妊娠・授乳の有無などによって異なります。
あなたのタイプ | 用いられることがある代表的な漢方薬 | 用いられることがある症状・体質の例 |
A:水太り | 防已黄耆湯(ぼういおうぎとう) | むくみ、多汗、疲れやすさなどに用いられることがある |
B:固太り | 防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん) | 便秘がちで腹部に脂肪が多い方の肥満症、むくみなどに用いられることがある |
C:ストレス太り | 大柴胡湯(だいさいことう) | 便秘傾向、肩こり、みぞおちの張りなどを伴う方に用いられることがある |
3-1. 【水太り】防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)
防已黄耆湯は、体力があまりなく、汗をかきやすい方のむくみや関節の腫れ・痛みなどに用いられることがある漢方薬です。水分代謝に関連する不調に対して処方されることがありますが、すべてのむくみや体重増加に適しているわけではありません。
3-2. 【固太り】防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)
防風通聖散は、腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちな方の肥満症、むくみ、便秘などに用いられることがある漢方薬です。便通や代謝に関わる症状を伴う場合に選択されることがありますが、下痢・軟便がある方や胃腸が弱い方では注意が必要です。
防風通聖散を飲んでも痩せないのはなぜ?
防風通聖散は、腹部に皮下脂肪が多く便秘がちな方などに用いられることがありますが、体質や症状に合っていない場合、期待した変化を感じにくいことがあります。また、食事量や運動量、睡眠、便通の状態なども体重変化に影響します。下痢・軟便がある方、胃腸が弱い方、動悸や不眠がある方などでは注意が必要な場合があるため、自己判断で継続せず医師・薬剤師に相談しましょう。
3-3. 【ストレス太り】大柴胡湯(だいさいことう)
大柴胡湯は、体力が比較的あり、便秘傾向、みぞおちの張り、肩こりなどを伴う方に用いられることがある漢方薬です。ストレスによる食べ過ぎが気になる場合でも、症状や体質によって適否が異なるため、自己判断での長期使用は避けましょう。
漢方薬はどのくらいで変化を感じる?
漢方薬による体調変化の感じ方には個人差があります。数日で便通やむくみなどの変化を感じる方もいれば、体質や生活習慣の影響で時間がかかる方もいます。一定期間使用しても症状や体調の改善がみられない場合は、漫然と続けず、処方や生活習慣の見直しを含めて医師・薬剤師に相談することが大切です。
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4. 市販薬での「自己判断」に潜む危険性と副作用
市販の漢方薬を選ぶときの注意点
市販の漢方薬を選ぶ際は、商品名だけで判断せず、効能・効果、用法・用量、使用上の注意、含まれる生薬を確認しましょう。特に複数の漢方薬、便秘薬、風邪薬、サプリメントを併用している場合は、成分が重複することがあります。持病がある方や服用中の薬がある方は、購入前に薬剤師へ相談することをおすすめします。
薬剤師の視点
市販の漢方薬を購入する際は、現在服用している薬、持病、便通の状態、むくみの有無、胃腸の強さ、妊娠・授乳の有無などを薬剤師に伝えると、体質や症状に合うかどうかを相談しやすくなります。
ドラッグストアで市販の漢方薬やダイエットサプリを手軽に買えるようになりましたが、自己判断での購入や併用にはリスクが伴います。
4-1. 要注意!「甘草(かんぞう)」などの成分重複リスク
ダイエット目的の方に非常に多いのが、「むくみ取りの漢方」と「便秘薬」、さらに「市販の風邪薬」などを自己判断で同時に飲んでしまうケースです。
漢方薬の中には「甘草(かんぞう)」や「麻黄(まおう)」などの生薬を含むものがあります。甘草を含む漢方薬やグリチルリチン酸を含む薬を複数併用すると、低カリウム血症、血圧上昇、むくみ、体重増加などを伴う偽アルドステロン症が起こりやすくなることがあります。安全に使用するためには、服用中の薬やサプリメントも含めて医師・薬剤師に伝えることが大切です。
■ ワンポイントアドバイス:薬剤師が教える「粉薬(エキス顆粒)の飲み方のコツ」
薬局で「漢方の粉薬は、苦くて匂いもキツいから飲むのが辛い」とご相談を受けることがあります。そんな時は、飲み方を少し工夫してみてください。
漢方薬は本来、生薬を煮出して飲むものです。そのため、「少量の白湯(お湯)に溶かして、お茶のようにして飲む」と、香りが立ってかえって飲みやすくなるという方が多くいらっしゃいます。
どうしても匂いや味が苦手な場合は、オブラートを使う方法などもあります。ただし、飲み方を変える前に、薬剤師に確認すると安心です。服用後に腹痛、下痢、動悸、むくみ、脱力感、発疹など気になる症状が出た場合は、使用を中止して早めに医療機関へ相談してください。
5. よくある質問
Q1. 漢方ダイエットは本当に痩せますか?
A.漢方薬は、飲めば必ず体重が減る薬ではありません。体質や症状に応じて、便秘、むくみ、冷え、ストレスに伴う不調などに対して用いられることがあります。体重管理では、食事・運動・睡眠など生活習慣の見直しもあわせて行うことが大切です。
Q2. 漢方ダイエットで痩せない理由は何ですか?
A.体質や症状に合っていない漢方薬を選んでいること、生活習慣の見直しが不十分なこと、服用方法が適切でないこと、市販薬やサプリメントとの併用による影響などが考えられます。原因は人によって異なるため、気になる場合は医師・薬剤師に相談しましょう。
Q3. 防風通聖散を飲んでも痩せないのはなぜですか?
A.防風通聖散が体質や症状に合っていない、食事量や運動量など生活習慣の影響が大きい、服用期間や飲み方が適切でないなど、複数の理由が考えられます。合わないと感じる場合や副作用が気になる場合は、自己判断で続けず医師・薬剤師に相談してください。
Q4. 漢方薬はどのくらい続けると変化を感じますか?
A.変化を感じるまでの期間には個人差があります。便通やむくみなどで比較的早く変化を感じる方もいますが、体質や生活習慣によって異なります。一定期間使用しても変化がない場合は、処方や生活習慣の見直しについて専門家に相談しましょう。
Q5. 市販の漢方薬を自己判断で飲んでも大丈夫ですか?
A.市販薬であっても、副作用や飲み合わせのリスクがあります。特に持病がある方、服用中の薬がある方、妊娠中・授乳中の方、高齢の方は、購入前に医師・薬剤師へ相談することが大切です。
Q6. 漢方薬で副作用が出ることはありますか?
A.漢方薬でも副作用が起こることがあります。腹痛、下痢、発疹、動悸、むくみ、脱力感などの症状が出た場合は、服用を中止し、早めに医療機関や薬剤師へ相談してください。
Q7. 漢方薬とサプリメントは併用できますか?
A.併用できる場合もありますが、成分の重複や体調への影響に注意が必要です。サプリメントや健康食品を使っている場合も、漢方薬を始める前に医師・薬剤師へ伝えましょう。
6. まとめ
漢方薬を使っても思うような変化を感じられない場合、体質や症状に合っていない可能性があります。むくみ、便秘、冷え、ストレスによる食べ過ぎなど、気になる症状の背景は人によって異なるため、適した漢方薬も一律ではありません。
漢方薬は「飲むだけで必ず痩せる」ものではなく、食事・運動・睡眠などの生活習慣の見直しとあわせて活用を検討するものです。市販薬を複数使っている方、持病がある方、服用中の薬がある方、妊娠中・授乳中の方は、自己判断で始めず、医師や薬剤師に相談しましょう。
まずはチェックリストを参考に自分の体質の傾向を把握し、必要に応じて専門家に相談しながら、安全性を確認したうえで無理のない方法を選びましょう。
参考文献・出典一覧
執筆者
執筆・監修:髙橋 文乃(薬剤師)
経歴:2022年に薬剤師免許を取得。大手ドラッグストアでの調剤・服薬指導を経て、KDDIに入社後、現在はPonta薬局で薬剤師として勤務。オンライン診療・オンライン服薬指導やヘルスケア領域の情報発信に携わる。




