産後の抜け毛のピークはいつ?自然に戻る目安と受診サイン
- 7月29日
- 読了時間: 9分
出産という大仕事を終え、可愛い赤ちゃんと過ごす日々に慣れてきた頃。ふと鏡を見たときやシャンプーの際に「髪の毛がごっそり抜けている…」とショックを受けるママは少なくありません。
「このまま薄毛になってしまうの?」「いつまで続くの?」と不安になるかと思いますが、産後の抜け毛(分娩後脱毛症)は、女性ホルモンの変化に伴って起こるとされる現象で、多くの場合、時間の経過とともに自然に落ち着いていきます。
忙しい育児の合間でもすぐに疑問が解決できるよう、詳細なメカニズムや、回復を遅らせないための「NGな生活習慣」について、詳しく解説していきます。
1. 産後の抜け毛はなぜ起こる?原因と仕組み
産後の抜け毛は、医学的には「分娩後脱毛症(ぶんべんごだつもうしょう)」と呼ばれます。その最大の原因は「女性ホルモンの急激な変動」です。
妊娠中〜産後のホルモン変化
妊娠中は「エストロゲン(卵胞ホルモン)」の分泌量が大きく変化し、髪の成長期が保たれやすくなると考えられています。そのため、妊娠中は本来抜けるはずの髪が抜けにくく、毛量が維持されたように感じることがあります。
しかし、出産を終えるとエストロゲンの量は一気に妊娠前の状態まで減少します。
ヘアサイクルが一気に「休止期」へ
人間の髪には「成長期→退行期→休止期」というヘアサイクルがあります。出産後のホルモン変化により、妊娠中に抜けにくくなっていた髪が一斉に休止期へ移行しやすくなるとされ、その結果、短期間に抜け毛が増えたように感じることがあります。
2. 産後の抜け毛はいつから?ピークは何ヶ月?いつまで続く?
産後の抜け毛は一時的にみられることが多く、時間の経過とともに落ち着いていくケースが一般的です。一般的な経過の目安を見てみましょう。
時期 | 抜け毛の状態と目安 |
産後2〜3ヶ月頃 | シャンプー時などに抜け毛が増え始めたと実感し始める。 |
産後4〜6ヶ月頃 | 【抜け毛のピーク】 最も抜け毛が多くなる時期。精神的にも不安になりやすい。 |
産後半年〜1年頃 | 抜け毛が徐々に落ち着き始める。生え際に短い毛(アホ毛)が目立ち始める。 |
産後1年〜1年半頃 | 【自然回復】 ホルモンバランスが安定し、元の毛量に戻っていく。 |
※回復のペースには個人差があり、授乳の有無や生理再開のタイミングによっても変動します。
新しい髪が生えてくる「回復のサイン」
生え際や分け目、頭頂部などに短く新しい毛が目立つようになってきたら、新たな毛髪が生えてきているサインの一つと考えられます。全体的なボリュームの回復には時間がかかることがありますが、ヘアサイクルが整いつつある可能性がありますので、経過を見ていきましょう。
正常な経過としてみられやすい状態と、受診を検討したいサイン
比較的よくみられる経過 | 受診を検討したいサイン |
産後2〜6ヶ月頃に全体的な抜け毛が増えた | 産後1年以上たっても抜け毛や透け感が続く |
生え際や分け目に短い新しい毛が見られる | 分け目や頭頂部の薄さが続く、広がる |
時間の経過とともに少しずつ落ち着いてきた | 円形に抜ける、強いかゆみ・赤み・フケがある |
体調面に大きな変化はない | 動悸、強いだるさ、体重変化などを伴う |
3. 産後の抜け毛で受診を考えたいサイン
「産後1年以上経過しても抜け毛が減らない」「地肌の透け感が目立ってきた」という場合は、単なる分娩後脱毛症以外の原因が隠れている可能性があります。
FAGA(女性男性型脱毛症)の可能性
出産後も分け目や頭頂部の薄さが続く場合には、女性型脱毛症(FAGA)など別の要因が重なっている可能性があります。加齢や体質など、複数の要因が関与することもあります。
甲状腺疾患など他の病気
極端な抜け毛に加え、異常な疲れやすさや動悸などがある場合は「甲状腺機能の異常」などの疾患が隠れている可能性があります。
産後の抜け毛とFAGAの違い
産後の抜け毛は、出産後のホルモン変化に伴って一時的に増えることが多く、時間の経過とともに落ち着いていくケースが一般的です。一方、FAGA(女性型脱毛症)は、分け目や頭頂部の薄さが徐々に目立ち、進行性にみられることがあります。見分けが難しい場合もあるため、産後しばらく経っても改善しないときは、自己判断だけで済ませず相談先を検討しましょう。
「産後1年以上たっても改善しない」「地肌が目立つ」「体調不良(動悸・強いだるさ等)もある」など当てはまる場合は、皮膚科などで相談しましょう。受診のハードルが高いときは、オンライン診療を活用してまず状況を整理するのも一つの方法です。
シャンプーのたびに排水口に髪がたまる、朝起きると枕元に抜け毛が増えている、分け目や生え際の透け感が急に気になる――こうした変化は、産後の抜け毛でよく不安になりやすい場面です。出産後2〜4か月頃から始まり、6か月〜1年程度続くことがあるとされており、日本産婦人科医会でも開始時期・ピーク・終了時期には個人差があることが示されています。
シャンプー時にごっそり抜ける
洗髪時に抜け毛を強く実感する方は多く、量の多さに驚きやすい場面です。全体的に均等に抜ける傾向があり、時間とともに落ち着いていくなら、生理的な経過の範囲でみられることがあります。
枕元や床に髪が目立つ
日常のあらゆる場面で髪が落ちていると不安が強くなりますが、産後の抜け毛は頭部全体に起こることが多く、周囲には気づかれにくい一方で本人は気になりやすい特徴があります。
分け目・生え際の透け感が気になる
全体の毛量が減ると、分け目や生え際は特に目立ちやすくなります。ただし、同じ部位の薄さが長く続く、徐々に広がる、円形に抜ける場合は、FAGAや円形脱毛症など別の要因も考慮して相談を検討しましょう。
回復してきたか分からない
生え際や分け目に短い新しい毛が増えてきた、抜け毛の勢いが少しずつ弱まってきたといった変化は、回復のサインの一つです。見た目のボリュームが戻るまでには時間がかかるため、短期で判断しすぎないことも大切です。
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4. 生活シーン別|こんなときどう考える?産後ママが不安になりやすい場面
Q. 産後の抜け毛は何科に相談すればいい?
A.抜け毛そのものや頭皮の状態を見てもらいやすいのは皮膚科です。かゆみ・赤み・フケ・円形に抜けるなど頭皮トラブルがある場合は、まず皮膚科が相談先になりやすいでしょう。一方で、産後の体調全体や月経再開、ホルモン変化の不安もまとめて相談したい場合は産婦人科、強いだるさ・動悸・体重変化など全身症状がある場合は内科も候補です。
Q. 授乳中だと産後の抜け毛は長引く?
A.授乳そのものが抜け毛の唯一の原因とは言い切れませんが、授乳期間の長さと産後の抜け毛の関連が示唆された報告があります。日本産婦人科医会では、授乳期間が長い群で抜け毛が生じる調整オッズ比が高かったというアンケート研究が紹介されています。ただし、ホルモン変化、睡眠不足、栄養状態、ストレスなど複数の要因が重なるため、「授乳しているから必ず長引く」とまでは言えません。
Q. 産後の抜け毛がある時期にヘアカラーはしていい?
A.産後は頭皮が敏感になりやすく、ヘアカラーでしみる・かゆい・赤みが出ることがあります。一般的には1か月健診後に体調が安定していれば検討されることもありますが、抜け毛のピーク時や頭皮トラブルがある時期は無理をしない方が安心です。どうしても行う場合は、頭皮に直接つけにくい塗り方や低刺激の施術を美容師に相談し、強い刺激があるときは見送るのが無難です。
Q. 2人目以降の出産でも同じように抜ける?
A.2人目、3人目でも産後の抜け毛を経験する方はいますが、毎回まったく同じ程度になるとは限りません。ホルモン変化の受け方に加えて、授乳状況、睡眠不足の程度、食事、ストレス、もともとの毛量などが重なるためです。1人目より軽いこともあれば、育児負担が増えて強く感じることもあります。
Q. 産後の抜け毛が続くとき、病気の可能性はある?
A.多くは一時的な分娩後脱毛症ですが、産後1年以上たっても改善しない、分け目や頭頂部の薄さが進む、円形に抜ける、かゆみ・赤み・フケが強い、動悸や強いだるさを伴う場合は、FAGA、円形脱毛症、脂漏性皮膚炎、甲状腺機能の異常など別の原因が隠れている可能性があります。気になる症状が重なるときは、自己判断で様子見を続けすぎず相談しましょう。
5. 産後の抜け毛を悪化させやすい生活習慣
産後の抜け毛は自然に落ち着いていくことが多い一方で、生活習慣の乱れが重なると、髪や頭皮の状態に影響する可能性があります。以下の点に心当たりがないか確認してみましょう。
過度なダイエット・偏った食事
髪の主成分であるケラチンの合成には、たんぱく質に加えて亜鉛やビタミンなどの栄養素が関わるとされています。授乳中は食事バランスが崩れやすいこともあるため、極端な食事制限は髪や頭皮の状態に影響する可能性があります。
睡眠不足とストレス
夜泣きや頻回な授乳による睡眠不足、育児に伴うストレスは、心身のコンディションに影響することがあります。こうした要因が重なると、髪や頭皮の状態にも影響する可能性があります。
洗浄力の強すぎるシャンプー
産後は頭皮が敏感に傾くことがあり、洗浄力の強い製品が刺激になる場合があります。乾燥やかゆみが気になるときは、低刺激の製品を検討するのも一つの方法です。
まとめ:多くは自然に回復。長引く場合は一人で抱え込まない
産後の抜け毛は、出産後のホルモン変化に伴ってみられる一時的な現象で、産後半年〜1年頃から落ち着き、1年〜1年半ほどで回復するケースが多いとされています。いっぽうで、産後1年以上続く、地肌の透け感が強い、体調不良を伴うなどの場合は、分娩後脱毛症以外の原因が関係している可能性もあります。気になるときは、早めに皮膚科などへ相談しましょう。
参考文献
執筆者
執筆・監修:髙橋 文乃(薬剤師)
経歴:2022年に薬剤師免許を取得。大手ドラッグストアでの調剤・服薬指導を経て、KDDIに入社後、現在はPonta薬局で薬剤師として勤務。オンライン診療・オンライン服薬指導やヘルスケア領域の情報発信に携わる。





