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ドクターズコラム

AGA治療で一時的に抜け毛が増えることも?初期脱毛の仕組みと対処法

  • 4 日前
  • 読了時間: 4分

AGA(男性型脱毛症)の治療は、継続することで効果が期待できる一方、「本当に効くのか」「副作用は大丈夫か」といった不安を感じる方も少なくありません。ここでは、AGA治療に関してよく寄せられる疑問について、医学的観点から解説します。



1. 初期脱毛の期間と量について

 AGA治療を開始してから数週間〜2か月ほどの間に、一時的に抜け毛が増える「初期脱毛」がみられることがあります(ただし、すべての方に起こるわけではありません)。これは、休止期にあった毛が成長期へ移行する過程でいったん抜け落ちるためと考えられており、治療に伴う生理的な変化の一つであり、脱毛が悪化しているわけではありません1


 抜け毛の量には個人差がありますが、多くの場合は数週間から2〜3か月程度で落ち着くとされています。この時期に不安を感じて自己判断で治療を中断してしまうと、十分な治療効果が現れない可能性があります。症状が強い場合や不安がある場合は、自己判断で中止せず医師に相談しながら継続することが重要です。


2. 発毛効果を感じるまでの期間

 AGA治療の効果はすぐに実感できるものではなく、一般的には3〜6か月程度で「抜け毛が減った」「髪にハリやコシが出てきた」といった変化が見られることが多いとされています2


 さらに、明らかな発毛効果を実感するまでには6か月〜1年程度かかる場合もあります。これは毛髪の成長サイクル(毛周期)によるものであり、ある程度の時間をかけて評価する必要があります1。短期間で効果がないと判断してしまうのではなく、一定期間継続して経過を見ることが大切です。


3. 治療を中断した際の影響

 AGAは進行性の脱毛症であり、治療によってその進行を抑えている状態です。そのため、治療中断後は徐々に効果が失われ、再び脱毛が進行する可能性があります2,5

 特に、フィナステリドやデュタステリドといった内服薬は作用が可逆的であるため、服用をやめると効果も徐々に失われます。無理なく継続できる治療計画を立てることが、長期的な効果維持のために重要です。

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4. 献血や妊活への影響、副作用について

 AGA治療薬のうち、フィナステリドやデュタステリドは服用中の献血が制限されます。さらに、休薬後も一定期間は献血ができません。これは、妊婦に輸血された場合に胎児、特に男児の外性器発達に影響を及ぼす可能性があるためです4,5


 妊活への影響については、男性がこれらの薬を服用している場合でも、精液中に移行する薬剤量はごくわずかとされています。一般的な使用において大きな影響が生じる可能性は低いと考えられていますが、パートナーが妊娠中または妊娠を希望している場合には、事前に医師へ相談すると安心です4


 また、副作用として、性機能の変化(フィナステリド・デュタステリド)や、頭皮のかゆみなど(ミノキシジル外用)が報告されています。


 なお、これらの薬剤は主に男性に使用される治療薬であり、女性や小児には原則として使用されません。妊娠の可能性がある場合にも使用は推奨されておらず、とくに妊娠中は触れることのないよう注意が必要です。


5. 相互作用(併用に注意が必要な薬や食べ物)

 フィナステリドは比較的薬物相互作用が少ないとされていますが、デュタステリドは主にCYP3A4で代謝されるため、この酵素を強く阻害する薬剤(例:アゾール系抗真菌薬やマクロライド系抗菌薬など)との併用には注意が必要です。


 また、ミノキシジル外用薬は全身への影響は少ないものの、皮膚刺激やまれに動悸や血圧低下などの全身症状がみられることがあります。


 特定の食品で明確に併用が禁止されているものは多くありませんが、過度の飲酒やサプリメントの併用は、肝機能や体調に影響を及ぼす可能性があるため注意が必要です。併用薬や健康食品について不安がある場合は、事前に医師や薬剤師に確認すると安心です。


6. まとめ

 AGA治療は、正しい知識をもとに継続することが重要です。不安や疑問がある場合には、自己判断で中断せず医療機関で相談しながら継続することが、効果と安全性の両立につながります。


参考文献

  1. Messenger AG, Rundegren J. Minoxidil: mechanisms of action on hair growth. Br J Dermatol. 2004;150(2):186-194.

  2.  Kaufman KD. Finasteride in the treatment of men with androgenetic alopecia. J Am Acad Dermatol. 1998;39(4 Pt 1):578-589.

  3. Propecia (finasteride) prescribing information. Merck & Co., Inc.

  4. Avodart (dutasteride) prescribing information. GlaxoSmithKline.

  5. Adil A, Godwin M. The effectiveness of treatments for androgenetic alopecia: a systematic review. J Am Acad Dermatol. 2017;77(1):136-141.


執筆者

執筆:山本佳奈 先生(医師) 

経歴:

1989年生まれ。滋賀県出身。医師。医学博士。2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。2022年東京大学大学院医学系研究科修了。日本医師会認定産業医。一般社団法人 日本貧血改善協会理事・医学監修責任者、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員。AERA DIGITAL コラムニスト。

著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)がある。


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